つながりから生まれる、
集いの海辺未来へつなぐ、ひと。
仙台市若林区荒浜に位置する「East Coast Park(イーストコーストパーク)」は、無料のストリートバスケットボールコートを核に、カフェ、ジム、スタジオ、スクールを展開する複合施設。「誰もが自由に集まり、交流できる新たな地域のランドマーク・憩いの場に」をコンセプトに掲げ、子どもから大人まで幅広い層が集います。施設立ち上げの背景には、塩竈市で造船業を営むオーナーの震災経験と、日本のストリートスポーツ環境への強い課題意識がありました。コート管理からカフェ業務、バスケットスクールまで幅広く担うスタッフの相澤輝彦さんに、施設の成り立ちや日々の活動、地域への想いを語っていただきました。
日本に無料開放コートを
震災の地に誕生したオープンな場所

施設を設立したオーナーは、国際的に活動するストリートバスケットボールプレイヤーでもある。アメリカや中国など世界各地を渡り歩く中で痛感したことがあるという。「海外では100〜200メートルおきに無料のストリートコートがあるのに、日本にはほとんどない」。その課題意識がEast Coast Park誕生の原点だ。クラウドファンディングで資金を集め、荒浜の土地に誰でも無料で使えるバスケットボールコートを整備した。
当時、相澤さんは埼玉の介護施設運営会社で勤務する傍ら、宮城を拠点にバスケットボール選手としても活躍。国体などの代表選手としての活動やストリートバスケチームの活動のために、毎週埼玉から宮城へ通う生活が続いていた。「そんなとき、大学の先輩でもあるオーナーから一緒にやらないかと誘いを受けまして…。その理念に共感したのと、宮城を拠点に活動したいという思いが重なり転職を決めました」。

荒浜の海岸沿いには、震災遺構として保存されている仙台市立荒浜小学校がある。震災を知らない世代の子どもたちも見学に訪れるその場所が、施設のすぐ隣に立つ。「East Coast Parkの利用をきっかけに、震災のことも知ってもらえれば」と相澤さん。県内外から訪れる利用客に荒浜小学校や海岸への訪問を勧めるのも、そうした思いからだ。コートは競技の場であると同時に、震災の記憶をつなぐ場所でもある。
バスケットボールを軸に、
多彩な事業が一つの施設に集まる

屋外バスケットボールコートには大人用ゴール4基、ミニバス用ゴール、ミニゴールが並ぶ。年中無休・24時間無料開放で、いつでも誰でも自由に利用できるため、放課後に自転車でやってくる小中学生、週末に訪れる家族連れ、仕事帰りに立ち寄る社会人など、さまざまな人が集まる。バスケットボール部ではない子どもたちが「何となく」寄っていくことも珍しくないそうだ。
相澤さんはコート管理、カフェ業務、バスケットボールスクールのメインコーチを兼務する。スクールは未就学児から中学生を対象に週5日ほぼ毎日開催。金曜日は会員約50名が参加する本格的なコースで、それ以外の平日は2〜10名程度が自由に参加できる形式をとる。相澤さんがメインコーチを務め、未就学児クラスは同じくバスケットボールプレイヤーである店長が担当、専門領域は外部コーチからの指導も受けられる。

1階のジムスペースは月額会員制で24時間利用可能なほか、1回税込1,500〜2,000円のビジター利用にも対応する。近年注目を集めるフィットネスレース「HYROX(ハイロックス)」に対応した施設は宮城県内でまだEast Coast Parkだけで、器具の貸し出しやイベント開催で新たな客層を呼び込んでいる。2階はスタジオスペースに改装され、家族写真やスポーツ活動の宣材写真撮影の場としても活用されるという。
「誰でも自由に来て遊べる」
ピックアップゲームが荒浜に人を呼び戻す

ストリートバスケットボールの最大の魅力は、そのオープンさ。「ピックアップゲーム」という、その日集まったメンバーで即席チームを組んで試合をする文化がある。5対5でも、3対3でも、1対1でも人数に応じて柔軟に形式を変える。年齢も性別も経験の有無も問わない。ゲームが終われば初対面同士が自然と言葉を交わし、そのまま打ち解けていく。地域のクラブチームへの加入など、新たなつながりが生まれることも多い。「ローカルルール」による排他性を取り除き、誰もが参加しやすい環境を維持することがEast Coast Parkの方針だ。
スクールも同じ精神に貫かれている。屋外コートでの実施にこだわり、風雨や寒さの中でも練習を続けることで精神的・技術的な強さを育む。大会ではターゲットポイント制などの独自ルールも採用し、競技経験のない子どもでも楽しめる工夫を凝らしている。
このオープンな場が、地域に変化をもたらし始めている。「毎年開催される荒浜の灯籠流しでは、屋台スタイルで営業を行っています。かつて荒浜に暮らしていた方たちも訪れますよ」。「こんなコートができるとは思わなかった」と驚きながらも戻ってくる元住民の姿に、相澤さんは大きな手応えを感じているそうだ。「イベントやバスケットボールの大会に参加する元荒浜住民も少しずつ増えてきました。隣接するレストランなど近隣事業者との連携し、みんなで盛り上げていければいいですね」。 バスケットボールを軸にカフェ、ジム、スタジオ、スクール、イベントが交差するEast Coast Parkは、荒浜という場所に人が戻り、集い、つながる拠点としてその存在意義を高めている。
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