つながりから生まれる、
集いの海辺未来へつなぐ、ひと。
仙台港エリアに立地する「仙台うみの杜水族館」は、東日本大震災からの“復興を象徴する施設”として、2015年7月1日にオープンしました。
コンセプトは、「海と人、水と人との、新しい『つながり』をうみだす水族館」。津波による甚大な被害を受けたこの地で、海の恵みや生きものの魅力、そして海と人との絆を改めて伝えながら、人々に笑顔と感動を届けています。
2025年7月に開館10周年を迎えた「仙台うみの杜水族館」。館長の増渕修さんに、これまでの歩みと地域への想い、そしてこれからの展望についてお話を伺いました。
まちのにぎわいを創出しながら
地域とともに歩んだ10年間

東日本大震災により、大きな被害を受けた仙台市沿岸部。
再び人々が集い、にぎわいを取り戻すことを目的に、2015年に開館したのが「仙台うみの杜水族館」です。オープン当初から「復興を象徴する水族館」として注目を集め、初年度は想定を上回る約140万人が来館しました。
館長の増渕修さんは、開館当時の思いをこう語ります。
「震災をきっかけに、海を怖い存在として感じるようになった方も多かったと思います。しかし日本は海と共に暮らし、海の恵みを受けてきた国でもあります。だからこそ、展示を通して海や生きものたちとの“つながり”を多くの人々に感じてもらいたいと考えました」。
震災当時、横浜・八景島シーパラダイスで働いていた増渕さん。被災地の状況をテレビで知り、「自分たちにも、被災地のためにできることがあるのではないか」という一心で被災地に入り、復興の一端を担いました。
仙台うみの杜水族館の開館にあたっては、“被災地”という点を意識しすぎるのではなく、自然と人々が集い、誰もが楽しめる場所にしたいという強い思いがあったといいます。
地域の人々に長年親しまれてきた「マリンピア松島水族館」から引き継いだイロワケイルカをはじめとする生きものや、飼育のノウハウを継承し、地域の記憶を未来へつなぎながら、「この地域ならではの新しい水族館」を築くよう心がけてきたのだと、増渕さんは教えてくれました。

水族館の多種多様な展示を通して
来館者に希望と感動を届けたい

仙台うみの杜水族館の大きな魅力は、エンターテインメント性があるだけでなく、地域の活性化を生み出す展示にあります。迫力あるバンドウイルカのパフォーマンスをはじめ、三陸の海をダイナミックに切り取ったかのような大水槽「いのちきらめく うみ」では、海中世界を心ゆくまで堪能することができます。
また、東北の海や世界の生きものたちの生態を生かした展示に加え、海と共に生きる人々の様子を取り入れた展示も展開し、“地域と共に創り上げる水族館”としての挑戦を続けています。
「水族館には博物館としての役割に加え、観光やレジャーとしての側面も担っていますので、まずはお客様に楽しんでもらうことが一番重要だと考えています。その上で、地域に根差し、にぎわいを生み出す存在でありたいと考えています」。
そのためには地域との連携が何より大切だと、増渕さんは続けます。近隣商業施設と連携したペアチケットの販売や、アニメ・ゲームとのコラボレーションなど、新たな層をターゲットとした企画も積極的に実施。スタッフ一人ひとりが挑戦し続ける姿勢を持つことで、着実に成果を上げています。
増渕さんが、特におすすめしたいと話すのが、イルカのパフォーマンスです。
増渕さんは、2025年5月に誕生したバンドウイルカの子ども「エル君」を愛おしそうに眺めながら、「10周年を象徴する存在として、大切に育てていきたいですね」と顔を綻ばせます。
新しい命の誕生は、仙台うみの杜水族館の10年間の歩みと、これからの未来を明るく照らす希望の象徴として、来館者に新たな感動を届けています。


環境について考える場を提供し
持続可能な社会の実現を目指す!

仙台うみの杜水族館では地域活性化に加えて、環境保全活動や持続可能な社会の実現に向けた取り組みにも力を入れています。
その取り組みの一つが、ユニフォームのリニューアルです。サステナブルな視点を大切に、ユニフォームの素材の一部に、気仙沼の廃漁網を活用しました。
「ユニフォームのイラストデザインは、子どもたちが粘土で作成した生きものをモチーフにしたものなんですよ」と続ける増渕さん。地域の人々と共に創り上げた新ユニフォームは、水族館スタッフ全員のお気に入りなのだと、嬉しそうに教えてくれました。

「水族館は、環境について考えるきっかけを提供する場だと思っています。この場を通して、私たち人間は命について学び、環境へと目を向ける。そして海や生きものとの関わりを改めて見つめ直す——。そんな幸せな“つながり”を生み出していくことが、私たちが目指す水族館のカタチです」。
ユニフォームの他にも、環境について学べる体験型ワークショップの開催や、地域の人々と協力したビーチクリーン活動、海洋環境調査など、仙台うみの杜水族館の挑戦は多岐にわたります。
「多くの方々の支えがあったからこそ、当館は10周年を迎えることができました。これからも海の生きものの魅力を伝え、希少種の保存や環境への取り組みを発信しながら、地域の皆様と共に歩んでいきたいと思います」。
海と人、地域と未来をつなぐ場所として。
仙台うみの杜水族館は、海と人、水と人、そして地域と未来を結ぶ“つながり”を、これからもこの地で生み出し続けていくことでしょう。
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